時給1020円の初老の旅路

初老のオヤジの人生徘徊記

コロナと航海3

 これは誰だかに聞いた話。間も無く世界の覇権を奪ろうとしている超大国には、老害と言う悩みがあった。指導部には長老より面倒な御意見の横槍があり、医療技術の進歩により、街には生殖能力の無い元気な老人が溢れ、懐古趣味の文化により社会全体がどんよりと重苦しい空気に包まれていた。何をやっても盛り上がりに欠けて、こころは老人、からだは若者の変な人間が徘徊していた。国力は増大、気力は減退の嫌な社会情勢。弱者が街に溢れ、強者が地味に国を回している現実。幸福に不感になった国民を為政者は嘆いていた。ある研究があった。野生のムササビの保菌しているウイルスのなかに、種を選別する作用のあるものがある。そのウイルスを人間に感染させ、人間を選別出来ないか?密かに進められたその研究、アフリカに留学していた天才感染症研究者によってヒトへの感染、ウイルスの培養、ワクチンの生成、がもう一息のところまで着ていた。