時給1020円の初老の旅路

初老のオヤジの人生徘徊記

実はパロマと後悔5

 まだ、聞いた話は続く。シルバー世代ばかり乗せたクルーズ船には、超大国の哀しみに包まれた街の話が伝わった。遊び呆けていた老人達は、部屋に籠り哀しみに暮れた。カジノやレストランの売り上げが落ちた支配人、老人達の部屋を個別訪問して、施設利用を促した。クルーズ船は瞬く間に涙の連絡船となり、母港の湊に引き返す事になった。事態に慌てたマスコミは大挙して、クルーズ船の帰港の取材、メディアによってその模様は全世界に、中継された。世界は哀しみの海に沈むのだった。ワイドショーではコメンテーターが、涙や唾を飛ばしつつ、侃侃諤諤、ウイルスは電波感染によって、世界中の視聴者へ。視聴率と感染率の相乗効果により、人類の危機は想像以上に広まる。お笑い番組は軒並み数字を落とし、お笑い芸人は失職し、葬儀屋はこの上ない好況、お笑いは落伍者になった。涙を拭うハンカチは品薄、鼻紙販売には長蛇の列。泣いてくれろよ、おとっつぁん!

コロナと本当は後悔4

誰だかに聞いた話は続く。博士は嫁姑問題に悩んでいた。眼科医である夫は自分の研究に理解はあるが、姑は国家的研究より当家の後継問題を重視して、昼間の仕事よりも夜の営みに言及してくる。ある日、博士は長生きのクスリだと姑を騙し、ムササビウイルスの注射に成功する。感染した姑は涙が止まらなくなり、息子の眼科医を受診する。軽いアレルギーと判断した息子は薬を処方し、母に安静にするよう忠告。が、母親は近所の葬儀を三件梯子し、思う存分涙を流した。その後、街の人々は何故か哀しみに涙を流すヒトが急増。深い哀しみに包まれたその街は瞬く間に、パンデミック状態になっていった。感染者が死し、葬儀が行われて、人々が涙に暮れて、また、感染者、葬儀、涙、地獄へのスパイラルが起きたのである。政府は現地に慰安芸人をはけんし、雰囲気を明るくしようと躍起になるが事態は好転しない。博士は、スタッフと親近者にはワクチンを打つが。

コロナと航海3

 これは誰だかに聞いた話。間も無く世界の覇権を奪ろうとしている超大国には、老害と言う悩みがあった。指導部には長老より面倒な御意見の横槍があり、医療技術の進歩により、街には生殖能力の無い元気な老人が溢れ、懐古趣味の文化により社会全体がどんよりと重苦しい空気に包まれていた。何をやっても盛り上がりに欠けて、こころは老人、からだは若者の変な人間が徘徊していた。国力は増大、気力は減退の嫌な社会情勢。弱者が街に溢れ、強者が地味に国を回している現実。幸福に不感になった国民を為政者は嘆いていた。ある研究があった。野生のムササビの保菌しているウイルスのなかに、種を選別する作用のあるものがある。そのウイルスを人間に感染させ、人間を選別出来ないか?密かに進められたその研究、アフリカに留学していた天才感染症研究者によってヒトへの感染、ウイルスの培養、ワクチンの生成、がもう一息のところまで着ていた。

コロナと航海2

 感染モノ?の映画なんか見ると、シャクの都合だろうが、バァーッと感染して、劇症化して、ウワッと広まって、人類全滅ぐらいの勢いになるけど、本物のコロナはジワジワと人々を恐怖に陥れて、重苦し気持ちにさせて、うっかり忘れてしまうくらい、のんびり静かに流行している。みょうに気にして窓と言う窓を全開にして、目にするモノすべてに除菌するひともいれば、忘れたかのように外食旅行、いわゆる三密してる人もいる。ただ、マスクは忘れない。老若男女、ワタシの見る限りの日本人はマスクマンである。自分の近くに感染者が居らず流行自体を疑っている友達もいるが、横浜住まいのワタシの周りには、救急車で搬送された人、店の営業に関わる為内緒にしていた飲食店主、いいのか?そんな事!その他もろもろ、本当にあった感染者である。今のところワタシは大丈夫みたい?だけど、陽気な保菌者だったりして?仕事も大した影響もなく、毎日粛々と生活している。

コロナと航海

 60代になったら、早く年金貰って、適当にバイトして、のんびり過ごしたいと朧気ながら考えていた。体力も気力も頭の方も大分くたびれて来たし、がっつく人生ももうやめだと意識していた。たまたま、職場の若い支店長とソリが合わず、仕事も楽しくなくなったので、ろうそくが消えるようにそっと退職した。ちょうど、中国の武漢でバタバタとひとが倒れてるころだ。ネットのニュースを見て、他国の話題と軽く見ていると間もなく、緊急事態宣言だ。何とか、200人規模の工場の製品出荷のバイトにはありついたが、世の中だんだん悪い方向に。眼ざとく公的な低利融資を受け、給付金を受け取ったものの、長いトンネルの中で、そんなものは生活費に消えた。不要不急の外出控えて、贅沢もしてないのに、乾いた生活にカネはすうっと吸い込まれて、同時に気力も、残業で稼げなくなったし、副業も大して美味しい思いも出来なくなった。まして、そんな航海が続くなんて。

ビレッジシンガー

 東京にいるとそうでもないが、少し離れた街や会社で日常を送るようになると、色々ローカルルールに悩まされる。飯の味、食い方、挨拶の仕方、妙な習慣、その他いろいろ。酒の飲み方、場所時間、お姉ちゃんの口説き方まで、決まりがあったりする。方言みたいなものだから、許せない事も渋々受け入れざるを得ないが、でも、会社の中で、ボスやお局を生かす為にある暗黙のローカルルールは醜いものではないか。ドサ回りの多かった私にとってはどこへ行っても外様だから、ある程度は従わなくてはならない常だか、同調して同化して従属するまでは勘弁してほしい。しかも、かつての小学生のイジメみたいに、露骨で無意味で生産性のないルール、だけどそれがないと、存在が危うくなる裏番長!もう、そんな存在に我慢しなくて良い生き方を身に付けた私は、敢えて逆らうこともせず、適度な距離を置いて、静かに自由の歌を歌うのである。たった一人でも死にはしないと。

ソフトな冷酷

 英語と言うより、カタカナ表現にした方がソフトに聞こえる。意味も曖昧になって、オサレな感じすらある。その典型がリストラだ。本来は前向きな意味だが、要するにクビ!と言う使い方をする。で、宣告されると、驚きより先に、時代だからなぁと納得させられる。仕方ないなぁ、不況だし。が、自分がそうなると、穏やかにボケてはいられない!まさに私はリストラされた。社員扱い?で形式的に半年契約の雇用関係をブチ切られた。いきなり、5月いっぱいで。で、ブログどころではなくなり、地下に潜って暗闘?まぁ、兎に角、必死に職探ししていた。年金の繰上げ受給手続きして、バイト探して、面接受けて、日雇いバイトして、忙しく時間は過ぎた。シルバー人材センターはそれこそ、お小遣い程度の仕事ばかりだし、ネット副業は怪しい香りが芳しいし、コロナ不況って感じだし、ため息ばかりの日々だったが、何とか近所のスーパーで働かせて頂けることになった。